2018年11月某日
その当時はまだ知る由などないのだが、既に運命は動いていたのだった。
この日はキリコ先生と共に里へ行き、同年8月にフルチョした16少女アメジストのユリさんをお迎え。するとそこでとある方と知り合った。私自身はTwitterで時々お見かけしていたため存じ上げていた方だった。その方もBJファンでいらっしゃるためすぐに意気投合し、お迎えしたばかりのユリさんの話で盛り上がったりもした。
その方と別れてからは工房に行ったり別のところで撮影したりする中でワンオフも見に行ったのだが、これはユリさんのお迎えと併せてもうひとつの目的でもあった。
この時はBJ先生に加えてピノコもお披露目されていたのだ。BJ先生やキリコ先生はよくワンオフお披露目されるのにピノコはそれまで全くだったためずっと見たいと思っていた。初めてのワンオフピノコにこれはひと目見に行かなければならないと心に決めて里に来ていた。
ガラスに隔てられた展示ケースの前に行ってみると、そこには椅子に腰かける先生と隣で微笑むピノコの姿が。セッティングの素晴らしさに感動しながら応募用紙に記入し、先生とピノコの番号に丸をつけて投函した。もし当たったらその時だと特に深く考えず展示室を後にした。
同年12月某日
仕事終わりにスマホを確認すると、不在着信が1件。里からだった。
先だってお迎えしたユリさんのウィッグ入荷の件だろうか、いやでもそれなら地元すみかから連絡が来るはずだけどと思いながら、翌日午前出勤の後で電話をかけてみる。折り返しの旨と名前を伝えると、返ってきた言葉に思わず驚嘆の声を上げた。
「ワンオフの件でお電話差し上げたのですが……」
え。今なんて?ワンオフ?????
「はい、ワンオフピノコの……」
ええええええええ!?????
もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれないが、私はこの連絡が来るまで当選に気づかなかったのだ。つまり、送られてくる当選通知(いわゆる白封筒)を家で見かけていなかった。突然なことに舞い上がり、家に入って開口一番白封筒を見かけたかどうか聞いたが知らないと言われる。
通知はもう一度送ってもらえることになり、開けた時の感動は今でも忘れられない。
だが奇跡はそれだけにとどまらなかったのだ。
ユリさんをお迎えに行き投票をしたあの日に知り合った方のところにも白封筒が届いたとの投稿が。まさか、と思っていた。だがその封筒が知らせた当選ドールさんのお披露目ツイートを拝見してそれは現実となった。
そのドールさんとは……誰あろう我が家に来るピノコの隣にいたBJ先生だったのだ。
先生とピノコが繋いでくれた運命とも言えるご縁に震えが来た。
ワンオフは投票時に目が合ったとか、自分のもとに来るという確信に近いものが感じられるという話はよく聞くが、そういうものは特に感じられなかった私にとって当選自体も驚きだったのだがこれはそれ以上に驚いた。やはりワンオフは、何かしら不思議なものがあるのかもしれない。
同年12月24日
冬ドルパの翌週。我が家の黒男先生とピノちゃんふたりを連れて、里で待つ新人を迎えに行った。
道中はそわそわして落ち着かず、到着してからもずっと落ち着かないまま3人を出し、一緒に地下へ。
お迎えの手続きを済ませて連れてきてもらった子は、ガラスの向こうから見た時よりも緊張しているようにも見えたが、その時よりもずっと可愛らしかった。
ついてきてくれた3人は彼女のお迎えを喜び、温かく歓迎してくれた。特に黒男先生は最初信じられないような様子であったものの、撮影するにつれて実感が湧いたようで嬉しそうだった。
彼女の名前は当選連絡をもらってから既に決まっていた。『ロミ』。本当はフルチョで呼ぶつもりだったのだが、このタイミングで来たこの子はあの子に違いないと確信したのだ。
運命に導かれてやってきてくれた素敵な子。今日もまた黒男先生やピノちゃんたちに囲まれて無邪気に微笑んでくれている。