
どうして自分がドール沼に飛び込んだのか、少々昔話をさせてください。
自分が生まれた時、母が出産祝いにと一体のインテリアドールをもらいました。
小さい頃から彼女を見て育った自分には、いわゆる「人形が怖い」という感情はなく、「物に名前を付ける」事にもあまり抵抗がありませんでした。
幼い自分は彼女のことを「姉」と慕い、今でもそれは変わっていません。
ただ、だからといって「ドールをお迎えしたい」と思った事は、それまで全くありませんでした。
状況が変わったのは、2018年の秋。
リアルで忙しい毎日が続く中、趣味のゲームもなかなか出来ず、心が折れかけていた…そんな時のことです。
今でも「何故表示されたのか」は分かりませんが、ふと「DOLK」さんの広告が目に入りました。
いつもは見逃すようなその広告に、心を惹かれた自分は「なんて綺麗な人形なのだろう」と、その広告をクリックします。
でも、その時はそれだけの事。
こんな世界もあるのだと、ぼーっと写真を見ていました。
それからというものの、度々DOLKさんの広告が表示されるようになりました。
「綺麗だ」「素敵だ」と思った子がいればクリックし、ぼんやりと写真を見て「すごいなぁ」と満足する日々。
そんなある日、ある一体のお人形の広告が目にとまりました。
その子は「Kream Doll」さんの「Lolly Berry MINI PINO Ver.」という子で、可愛らしいウサギの人形でした。
ドール≒人間の形と思っていた自分にとって、この子との遭遇は衝撃的でした。
「ウサモフ(※『世界樹の迷宮4』のモノノフ♀2のニックネーム、スセリの元の姿)がいる」と思ったのです。
なんて可愛い子なんだろうと、思わずサイズを確認します。
彼女の身長は20cm…「あれ?置けるぞ…?」
しかし、値段を見てビビります。
「ドール趣味はお金が掛かるとは言うけど、やっぱりすごいなぁ…」と、怖気付いた自分は一旦手を出すのをやめ、いつの間にか彼女は「SOLD OUT」になっていました。
「どうしてもこの子をうちの子に!」という熱量はなかったため、割とあっさり「縁がなかったのね」と思いました。
ただし、それからと言うものの、DOLKさんで人形の写真を見る頻度が増えました。
こうして振り返って見ると、自分を「ドール沼」に引き込んだのは、PINOちゃんなんですね。
「うさ耳の子かわいかったなぁ、もしスセリのドールとかあったら超かわいいだろうなぁ…」
『世界樹の迷宮』というゲームのシリーズで、グラフィックに名前を付け、設定を付け…そうして出来上がったキャラクターに冒険をさせる。
いわゆる「キャラメイクゲーム」が好きなゲーマーにとって、一緒に冒険をした「うちの子」は特別な存在です。
『世界樹の迷宮』の世界で冒険するだけには飽き足らず、他のゲームでも「うちの子」を作って遊んでいた自分にとって、カスタムドールという存在は性に合っているように感じました。
「キャストドール」という言葉の意味も分からないまま、DOLKさんでドール達を眺めて数週間。
「うさ耳のドール」はなかなか見つからず、たとえそれっぽい子を見つけても「やっぱりあの子の顔が一番スセリっぽかった」と、PINOちゃんの事を思い出していました。
それにもう一つ、なかなか購入に踏み切らなかった理由があります。
「スセリがいても、相方のシェンムーがいないのはなぁ…ウロビトみたいなドールなんてあるのかな?」
仮にドールとしてゲームの世界からスセリを迎えたとしても、彼女の相方とも言えるシェンムーを迎える事は出来ない。
その事実が、自分を「ドール沼」の淵で踏み留まらせました。
それっぽいドールを探した事もありましたが、ウロビトのような下向き獣耳のドールは見つからず、自作でもしないと無理だと考えていました。
今思えば、この思い込みこそがフラグだったのでしょう。
11月のこと、DOLKさんが取り扱ってる海外ドールブランド「Charm Doll」さんのページに、広告が繋がりました。
そこで(財布的には)見てはいけないものを見てしまったのです。
そうです「Renard」くんです。
「Renard」くんを初めて見た時、本当に「二度見」をしました。
毛皮で覆われたような、ふわふわの下向きの獣耳。
女の子でしょうか?いいえ違います「Boy」表記があります。
かわいいお顔ですが男の子のようです。
「うっそでしょ…」って、多分本当に呟いていました。
「シェンムーがいないからドールは買わない」と決めてた何かが一気に崩れ去りました。
でも、お迎えしたらずーっと長く、一緒にいる事になるんだよ?
高いんだよ?
ドールって注文してから数ヶ月平気で待つんだよ??
…ぐるぐると目を回していた自分の目に、ふと入ってきた文字がありました。
「即納」( ゚д゚)
…という事は、この「Renard」くんは頼めば直ぐ来るんか!?
もう日本にいるんか!?
「最後の砦」とでも言うべき何かが、音を立ててガラガラと崩れていきました。
しかしこの「Renard」くん、なんと身長45cm。
「20cm」くらいを想定していたのですが、その倍の身長。
怖気付く自分。
直ぐに脳内「置けるんか」会議が勃発しました。
…学生時代の本を廃棄して、部屋片付けたら置ける!(即解決)
Q.でも待って、シェンムー見つけても今度はスセリがいませんよ…??
A.「Renard」くんが置けるとなれば、あとは同じような身長のアニマルドールを探すだけだろう!
思えばこの辺りが「沼から逃げる最後のチャンス」だったのでしょう。
でも、当時を思い返すと、どう考えても自分からズブズブと沼に向かって進んでいってますね。
「Renard」くんとの出会いによって、ドール沼に飛び込む決意をした過去の自分。
DOLKさんの使い方にも慣れてきたのか、即行で擬人化アニマルドールを取り扱う「Dear Mine」さんのページにたどり着きます。
しかし、Dear Mineさんが取り扱うのは主に「猫」…兎さんは限定品ばかりで、手に入りません。
更に、ドールの構造に疎い自分は「耳はマグネット式で取り外しが可能」とは知りませんでした。
CharmDollさんにも、うさ耳の子「Remy」くんはいましたが、彼はお顔が人間ですし、ボディを女の子にしたところで「スセリです!」と言い張るには流石に無理があるなぁと悩みます。
「シェンムーが見つかったと思ったら、今度はスセリがいないんじゃなぁ…」
なんとなく寂しい思いで、ドール沼に背を向けかけました。
「スセリみたいな40cm級のドールなんて、やっぱりいないのかなぁ…」と、半ば投げやり気味に…しかし、心の奥底では希望にすがりたい気持ちもあり、ちょうどその時キャンペーンを開催していたDOLKさんの即納ドール一覧を見に行きました。
「あれ?さっきのDear Mineさんのとこの子だ…」
興味を引かれたのが「PRISCILLA」ちゃんでした。
お耳も猫ちゃんだし、お鼻のメイクも猫ちゃん寄りだけど、口周りの表情や、鼻周りのふっくら感が「自分が描くスセリ」に似てる…
そして何よりも惹かれたのが彼女の横顔でした。
目から鼻にかけての「マズル」が、なんと美しいのでしょう。
「もしこの子がうさ耳なら、今まで見てきた子の中で一番スセリっぽいのでは…?」
一旦背を向けたはずのドール沼に、目を爛々と輝かせながらずぶずぶと進んでいく自分。
この時点ですっかり「Renard」くんをお迎えする気になってましたし、あとは「PRISCILLA」ちゃんの事を調べるだけです。
海外版のDOLKの動画から彼女の耳がマグネット式である事、他メーカーさんだけど、うさ耳のみをオーダーできる事等、色々な情報を探り続けました。
「Dear Mine」さんの他ドールとも、何回も写真を比較しながら、彼女の「M-04」メイクが、そしてPRISCILLAちゃんの造形が、やっぱり一番「自分が思うスセリ」に近いという結論に達しました。
また「Renard」くんの身長は45cm、「PRISCILLA」ちゃんの身長は40cm。
この2体のオーナーさんの画像を探し回り、並んだ時のなんとなくの大きさも測りました。
「Renard」くん、「PRISCILLA」ちゃんともに「限定品」ではなく「通常品」だった事、そして本当に奇跡的に、2体ともが「即納品」だった事。
これが最後の後押し材料になりました。
気づけば、取り寄せ品のうさ耳と一緒に、ウィッグやらアイやらを買い揃えていました。
とても楽しかった記憶があります。
かくして、我が家に初めてのドールが、2体揃ってやって来る事になりました。
家の中を片付けながら、わくわくした心持ちで彼らを待つ事一週間ほど…
DOLKさんから「実店舗にドールが到着した」という連絡がきました。
(つづく…かも?)