初めてフルチョした話

初めてフルチョした話

そうだ、推しのキャラドを作ろう。

 コロナ禍真っ只中の7月某日、私はとあるゲームにどハマりしていた。

 Switch/Vita用DLソフトゲーム「グノーシア」
 プレイヤーは宇宙船に乗り込んで、人間に擬態した異星体「グノーシア」を議論によって見つけ出し、コールドスリープをする。
 いわゆる人狼ゲームを一人で遊べるように調整されたもので、12月にはパッケージ版も出る密かに話題のゲーム。

 私はこのゲームに登場する「レムナン」と言うキャラクターを推していた。
 ふわふわの白髪に白い肌、常に憂いを帯びた表情を浮かべる薄幸の美少年。
 かわいい。とてもかわいいのだ。物凄く暗い過去を背負っているが、それがむしろ唆る。
 こんなんオタク君好きでしょ。

 というわけで、私はこのレムナン君にお熱だった。
 同じ頃、スーパードルフィーにも興味を持ち始めていた私は気になるヘッドを検索してはニヤニヤしていてふと思った。

「レムナンって、顔面がSD向きじゃね?」

 すぐさまTwitterで似合いそうなヘッドを探した。
 一週間ほどかかったかと思う。ようやくイメージに合いそうなヘッドを偶然見つけた。SDM42番白肌だ。
 7月のスザンヌ以降、ブライスのお迎えが(好みの関係で)落ち着いていたのもあり、貯金をして8月下旬にはフルチョの予約をして初めて天使の窓へ立ち寄った。(もちろん感染対策を万全にしてである)

 ブライスなら初めてお迎えしてから一年経っているのでさすがにどうとでもなるが、スーパードルフィーに関しては全くの初心者なので何も分からない。
 店内の異世界感に圧倒されながら予約した時間まではまだたっぷりあったので店内を見て回った。
 どの子もかわいい。当たり前だが、顔が小さい。手足がすらっとしてて身長は高めだ。
 ブライスしか所持しておらず見慣れているので、リアルに近いお人形さんを見るのは新鮮な気持ちだった。
 時間になって、店長さんに案内を受けて地下に行くと「予約席」と書かれた札がカウンターの端の窓辺の席に置かれていた。

 ヘッド番号と肌の色は予約の電話を入れた時に伝えていたので割とすんなりと仮組みが進んだ。
 彼の身長は分からないけど、意外と高身長だったらいいなと言う妄想を込めてロング脚、ハンドパーツはなんとなく5番に。
 メイクはほとんど分からないことだらけなので、持ち込んだレムナンの写真を元にイメージに近いメイクをカタログの中からドールアドバイザーさんと一緒に探し出す。
 カタログの中に好みのメイクがあったので、それをベースによりレムナンに近づけて行くことに。
これがめちゃくちゃ時間掛かった。加えて、レムナンの目の下には濃いクマがある。
 「メイクでクマはオーダー出来ないので…」と言うアドバイザーさん、たくさんのカタログを引っ張り出してはページをパラパラめくり「これなんてどうですか!?」と指差し。
 見るとそこには目の下に青白く「クマっぽく見えなくはない」メイクを施した子がいた。即お願いすることにした。

 レムナンはいつも伏し目がちで分かりにくいが、紫色の綺麗な瞳をしている。どの色に近いかは悩んだので、グラスアイは濃紫と紫系の2セットをオーダーした。

 全てのオーダーが終わる頃には1時間40分が経過していた。そんなレムナンドールは11月中旬に自宅まで配送される。
 ここまでやっておいてなんだが、完成を待っている間に彼を「うちの子」として迎え入れたい気持ちが湧いてきて、レムナンではなく別の名を授けようと考えている。
 どんな子に仕上がっているかは見るまで分からないけれど、そんな想いが湧いてからは密かにその名で呼んでいる。

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