7月の写真と文章 – 「琥珀糖と銀河の日」

7月の写真と文章 – 「琥珀糖と銀河の日」

琥珀糖と銀河の日

 良い物が届いたので、寝る前の絵本のように、
 暗がりの中で包みを開けている。
 すると、遠くから微細な煌めき。
 そんな視線を向けてきたのは、青の少女人形だ。
 その姿と、包みの中身とを見比べ、中から一つ、
 小瓶を取り出して持たせてやる。
 「写真を撮らせて」と頼めば、
 彼女は微笑んで顔を上げてみせた。

……ねえ、もう遊んでいいでしょ。

 カメラを下ろせば、
 少女は瞬く間に、小瓶に夢中になってしまった様子。
 その中身は琥珀糖。
 腕の中で揺らしてみたり、ランプに照らしてみたり。

 ――濃紺の不透明の欠片。
 ――輝きを模した金箔粉。
 「似合っているよ」という言葉に、
 少女は首を傾げる。
 「きみは星空の娘だから」と返せば、
 さらにまばたきを繰り返す。

……星って?

 なるほど、その言葉に応えるように
 記憶の糸を手繰りよせて物語を紡いでみた。
 ひとつは、
 小瓶に記された、さる文豪の小説。
 ふたつに、
 この日にふさわしい、異国より伝わる伝説。

 聴いているのかも定かではない、
 瞳は小瓶のラベルをじっと見つめて。

  ・
  ・
  ・

 灯りを消し、夜の静謐を待っていると、
 小さな物音がして、
 微睡みの中でまぶたを開けば、
 窓際に少女がいるのが見えた。

 カーテンの隙間から覗く外界。
 人工の光にかき消され、
 銀河の光など、届くはずもない。

 星を名に持つ少女人形。
 いつの日かこの子も、
 あの空を目にするのだろうか……

2022.07.07

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あとがたり

 月替わりでプロフ画像を変えよう、ついでになんかSSっぽいの書いてみよう、という試み第2回目でした。
 今月はセイ。

 撮影で使わせていただいたのは、Bar十誡様のオンラインストアより取り寄せた、十誡特製オリジナル琥珀糖『桜桃・檸檬・銀河鉄道の夜』のうちのひとつ。
 レトロなパッケージが素敵なお品。非常に美味でした。撮りながらちょくちょく食べてたのは内緒。
(販売ページはこちらから!:
https://zikkai.shop/items/61248c5f8a45727d83126710

 セイの夏服は、お世話になっているCuddle Lullaby様のドレスです。エプロンを外しての撮影でしたが、瓶をお膝に乗せて撮るには、白いエプロンがあったほうが中身が見えやすかったかも……と反省中。
 ほぼ真っ暗な中で撮ってみるのは今回が初めてでした。夜景モードが多少役に立ちましたね。
 いつか夜空の下で撮影……してあげたい。できるかな。

 さて、皆さまは七夕の夜、いかがお過ごしだったでしょうか。
 私は、お嬢達と静かに一緒に過ごせて、だいぶ癒されました。暑い日が続きますが、なんとか頑張れそうです。

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